「フィーちゃん、何かあったの?」フィカが少し深冬から距離を取った。視線を泳がせながら笑う。
「え、何かって?」
「だって、今日のフィーちゃん、何だか様子が変よ? しかも、こんな事・・・」
こんな事と口にするなり、自分の顔を覆いふるふると震える深冬。
「私・・・されてしまった・・・しかも初めてを女の子に・・・」
壁の方を向いて丸まって身もだえている。
「このまま二人でめくりめく世界へ落ちていこうよ…?」
「またすぐそういうこと言う!」
「わたし生理前でたまってるのかな?」
「知りません。……そうじゃなくてね?」
まだ照れくさそうにしている深冬が身を起してフィカを見つめた。
「今日のフィーちゃん、元気がないように見えるよ」
「え……」
「だから何かあったのか聞いてるの」
「うう……」
フィカが困ったように口をへの字に曲げた。
「……なんでも、ないもん。深冬のおっぱい揉みたかっただけだもん。ただむらむらして、したくなっちゃっただけだもん。…深冬は私におとなしく抱かれていればいいんだもん」
うつ向いていじけたように耳を垂れるフィカ。ご自慢のツーテールも今日は元気がない。そんなフィカは、急に自分を包むふわりとしたものを感じた。
「あなたはさびしがりやさんだものね」
深冬がフィカを、ぎゅっと抱きしめていた。
「わふっ!? みふゅ……」
ぎゅうと、深冬の胸に抱きつくフィカ。あったかかった。そこはどこよりも。
「どきどき言ってるよ?」
「フィーちゃんの音だよ?」
「ちがうよ。んんっ」
深冬の腰に手を回し、一層抱きつくフィカ。
「甘えん坊さんだね」
「うるさいやい」
「で、なにがあったのかな?」
そう言いながら優しくフィカの髪を梳く深冬。フィカはされるがままにしている。
「だから、なんでもないんだってば」
「そう? じゃあ、そうなのかもね。 …………ねえ、こうしてみると、フィーちゃんが妹になったみたい」
「!!」
その言葉にフィカはバッと顔を上げた。
(つづく)