miffue4

多分次で終わる。今までの。

「わたしは、違うよ?」
急に顔を上げたフィカにぽかんとしている深冬に、うわずる声で言う。
「わ、わたしは、あの子じゃないよ。妹じゃないよ。フィカなの」
真剣な瞳。

どれだけ時間が流れただろうか。
ふと。深冬が笑った。

「フィーちゃん、そんなことを気にしていたの」
「だって…だって…深冬が私をここに置いておく理由だって……んぁっ」

声を震わすフィカに深冬はきゅっと抱きついた。
「フィカちゃんは、フィカちゃんだから、必要なんだよ」
「も、もう! 離して!」
「くす。さっきと言ってる事が逆だよ?」

深冬がいとおしそうにフィカの銀色の髪を撫でる。フィカは反抗しようとじたばたするが、次第にそれをやめ、深冬に身を預けた。その胸の中でもぞもぞと呟く。

「それに……わたし、妹なんて、いやだもん」
「……え?」
「深冬、わたしを見て……?」
「ん……」

至近距離で二人は見つめ合う。何故か顔を赤くしているのはフィカの方だ。そしてそんなフィカに追い打ちがかかる。

(ちゅ)

「ぇ…? ……ん、ん、……っ」
「ちゃんと見てますよ。フィカちゃんの事。いつも元気なところも、頑張りやさんなところも、本当はさびしんぼっていうことも」
「ぅぅ」
「それに……とってもかわいい女の子だって、思ってますよ」

そういうと、深冬はフィカの耳をそっとつまんだ。
「ひぁっ」
フィカの口から甘い声が漏れた。

「ほら。こうすると、」
そう言うと深冬はフィカの頬を包み、顔を近づけると髪にキスを落としていった。
「ゃっ」
フィカはふるふると身を震わす。
「ぞくぞくしてる」
「ちが…ぁ、…っ!」
「ほら? ちがわない」

深冬がその細い指をフィカの顔に髪に優しく這わせるだけで、フィカは可愛らしい声をあげる。

「フィーちゃんはとてもかわいい女の子」
「やあ…っ」

深冬に囁かれるだけで体をフルフルと震わせるフィカ。

「フィーちゃんはとてもかわいい女の子」
「もぉしつこいって」
「おかえしです」
「うー」

ぐったりとしてきたフィカに深冬は優しく声をかける。が、その声は、どこか逆らうことのできないような、不思議な響きを持っていた。このまま、自分のすべてをゆだねて溶けていけるような。

「……で、最近元気がなかったのはなんでなのかな?」
「そ、それは……自分でもなんとなくしか分かんないし……」
「そっか。じゃ、思い出すまで、今日はこうしていようか?」

深冬のにこにこ笑顔にフィカはガバッと後ずさる。

「お、思い出しますからー!」

(つづく)